朝はもうすぐ

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 そういえばふらりと入ってしまったので着替えの用意なんてしていなかった。取りあえず顔だけ風呂のドアから出してみた。さっき着ていた服がどっかにある筈だ。  あれ、床に脱ぎ捨てた服がない。え、なんで……  血の気が引いていく、友人はきっとなんとも思わないだろうけれど、オレは裸で和室には行きたくない。  取りあえずタオルは洗濯機の上のラックにあるはずだ。  横を向くと洗濯機の上にパジャマと下着とタオルが置いてあった。  どうやら友人が準備してくれたようだ。気持ちを知られる前はいろいろ気楽だったけれど今はなんとなくこういうのが恥ずかしい、のだけど、気にしすぎ……かな。  とにかくこの状態を見られるのが本気で嫌だからゆっくりだけど黙々と着替えた。  和室に入って心配そうにオレを見上げる友人をしり目にベッドへ直行した。  顔を合わせづらい。深夜に呼び出し、醜態を晒し泊めて貰うなんて……  こんなときでも布団は気持ちいい。  ベッドの横に座っていた友人はオレを振り返る。   「まだ気分悪いのか?」  テーブルに置いてあったお茶のペットボトルをオレに差し出した。  それを見て、ああ喉が渇いてたんだと思う。
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