朝はもうすぐ

87/102
前へ
/151ページ
次へ
「今日バイトだったよな?」  そうメールが入ったのは飲み会の二日後、本日二回目の講義を聞き終えて売店でパンを買っていた時だった。  あの朝、熟睡していた友人を起こさないように、置いていた着替えも全部持って帰った。  スマホに「迷惑かけてごめんね、昨日はありがとう」とメールを送ったんだけど、友人から返信はなかった。  てっきり怒っているものだと思っていた。  友人からのメールを見ながらオレは首を傾げた。  普段から友人はメールまめで返信が早い。だから怒っていると思っていたのに、ただの返信忘れだったのか。安心しつつオレは返信の操作をし始めた。 「うん、でも夕方のシフトに戻ったんだ。だからもう泊まりはいいよ、今までありがとねー」  夕方シフトは四時から九時まで。この時間、忙しい、スタッフの人数も多いのである意味楽だ。  九時ぴったりであがって外に出ると、凍えるほどの寒さだった。  またレンタルビデオ屋の脇にある自販機でホットカフェオレを買う。いつもながらガコンと音を立てて下りてきた缶を屈んで取り出す。  熱いくらいの缶を握り身体を起こすと真横に友人が立っていた。  ……あれ、デジャブ。  目を一度ぎゅっと瞑りゆっくりと目を開けて横を見る。  あ、やっぱりいた。
/151ページ

最初のコメントを投稿しよう!

854人が本棚に入れています
本棚に追加