朝はもうすぐ

93/102
前へ
/151ページ
次へ
  友人の後ろに着いて友人宅……ぼろアパートの一室へ入る。  友人は入ってすぐ風呂場に消えたのでオレは買ったプリンとお茶を冷蔵庫に入れた。  風呂場から湯を溜める水音が聞こえる。  レトロな硝子戸を開けると部屋がまた煙草臭い。  一目散に窓へ向かい開け放つ。  煙草の匂いは嫌いじゃないが、部屋が煙たくなるまで窓を閉めて吸わなくてもよかろうにと思う。  小さいテーブルの上に山になった灰皿があり、それをコンビニビニールへ入れようと残りの品を出した。 ビニールの中で灰皿をひっくり返すとふわっと灰が舞い、咳が出た。 「風邪か?」  和室に入ってきた友人が手元を見て「ああ、ごめん」とビニールを取り上げ台所に消えた。  そろそろいいかな、まだ臭うけどどうせまた友人が吸うだろうからいいか。  窓を閉めてエアコンをつける。 「寒いな」 「あ、今閉めたよ」 「うん」  友人はテレビを付ける。  また忘れてる。 「和也、ダウン」  座ろうとする友人に玄関を顎でしゃくると「ああ」と玄関脇に脱ぎ捨てたダウンを取って戻ってきた。いっつも置きっぱなしにする。  目が合うと片眉あげた友人は黙ってハンガーにダウンを掛けた。 「昭介も脱げば」 「うーん、まだ寒い」
/151ページ

最初のコメントを投稿しよう!

854人が本棚に入れています
本棚に追加