朝はもうすぐ

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 胸がかっと熱くなり、キリキリと痛む。  なんだか切ない、それと同時にすごく腹立たしい。  なんで今、こういうことするんだろう、今まで無かったのに。  オレがどうも思わないと思ったか。  イライラするしムカムカする。  でも敏感になってしまう自分にも腹が立つ。  もう友達だって言われてるんだから何されても動じちゃだめだ、負けただ、負け。  近付かれたり、触られたりで動揺していたら身が持たない。  する相手にも過剰な自分にも嫌気がさす。  やっぱり来ちゃいけなかった。  もう絶対誘われても来ない。  友達も、もうやめる。  少し離れても、本当に絆があるならもう一度最初からやり直せる筈だ。そのときはまた友達になればいい。  自分で自分に大きく頷く。  もう逃げちゃえ、そう思うと身体が勝手に動いた。  コンセントから引き抜いたドライヤーをテーブルに置き、手早く着替えた。  荷物を全部持って部屋から飛び出した。  息が切れるまで真冬の夜道を走った。  生乾きの髪が夜風に晒され頭痛を感じるほど冷たい。  立ち止まり息を整えると自分がすっごく可笑しくなってくすくす笑う。  はっとして周りを見るけど誰もいない、よかった。良かったと思ったらまた笑いが込み上げてきた。  笑いすぎて目尻に涙が溜まる。  グイッと拭って歩き出した。
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