飴玉

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 不気味がる周囲の人間は、彼女を遠巻きに避けるようになった。  あたしはその時のことを改めて訊ねてみたことがある。 「ああいう時だけ団結力作るなんて面白いよねえー。いつもはお互いに陰口言い合ってるのにね! あれでも笑いを堪えてた方なんだけど」  と、愉快痛快に教えてくれた。  彼女は異様。かつ、あたしとは真逆のタイプ。  嘘を表に出すあたしと本性を表に出す美雪。  あたし達がどうやってここまで親睦を深められたのか、そのきっかけがはっきり言って思い出せない。  委員会活動も一緒だったわけでもないし、部活もお互い帰宅部。  共通点がこれといってないのだ。  初めて交わした言葉も覚えていない。  ……まぁ、友達なんていつの間にかなっているものだし、あんまり気に留めることないか。  今は美雪という大親友が傍にいてくれることが唯一の支えだ。それは変わりないのだから。
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