11/27
前へ
/232ページ
次へ
「・・・・・。」 なんであれ、毎日付き従われる身にもなってほしい。 確かに世話をしてもらうのは悪くはないのだが、レインは自分の世話は自分でする主義なので、余計なお世話なのである。 ――・・・・イライラするな。 レインは感情を出さない眼で、ピシッと着込まれたスーツ姿の男子学生を見ていた。 そこにいて当たり前というような存在感に、主人への忠誠を誓うような顔。 何か見ていてイライラしていたら、無意識のうちにカップを傾けていた。 中の紅茶が、テーブルの上を跳ねてレインの袖についた。 レインは眉をしかめ、カップをテーブルに置き袖についた紅茶のあとを見る。 寮で、私服ではなく授業用に羽織っていた黒いガウンでよかった。 紅茶の染みが目立たない。 「レイン様、ガウンが汚れてしまったので洗わせていただきます。」 そう言って、レインの了解を待たずに、いつのまに来たのか、寮生の一人(これまたメイドみたいな姿な女子学生)がレインのガウンを脱がしていた。 レインはウンザリな顔をした。 「いい、自分で洗う。」 「ダメです。洗わせていただきます!」 女子学生はレインの言葉を意に介さず、手馴れた早さでガウンを脱がし、立ち去った。
/232ページ

最初のコメントを投稿しよう!

41人が本棚に入れています
本棚に追加