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毎日、違う色の猫耳をつけている彼女は、沢山の本を抱えて歩いていた。 フラフラと歩いている女子学生の姿を捉えたレインは、経験からくる嫌な予感を抱いて、反射神経を研ぎ澄ませていた。 「オットットニャッ!」 彼女は何も躓くものがないところで足を滑らせて、レインに向かって抱えていた本を全てぶちまけてきた。 しかし、レインは飛んでくる本を、カップを持ったまま溢さずかわす。 ――ふぅ、危ないあぶない。 目を離さなくて正解だった。 また紅茶が服について脱衣させられるところだった。 ここ最近ではないが、猫耳メイドに近づかれるだけで危険を感じるようになってしまったが、その嫌なクセのおかげで助かった。 レインは足を滑らせた女子学生に、非難を込めた視線を送る。 「ごめんなさい!ここ、よく滑るんですよ!!」 これで何度目になるかわからない彼女は滑ってコケている。 滑りすぎだ。 注意力散漫で片づけらるレベルじゃない。 ドジっ子だからって許さないぞ。 どうすればそんなに滑るのか逆に教えてほしいものだ。 ――く、……頭が痛くなる。 入学前はこんな雰囲気は無かったのだが…… 気づいたらお坊っちゃま扱い。
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