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とレインは考えていたが、あることに気づいた。 ――ん、これは…… このテーブルは寮生に包囲されている。 いつの間にか部屋の角に溜まる埃のように、レインの周りには寮生が群がっていた。 「レイン様、大丈夫ですよ。執事である私が守ります。」 「わたくしが守りますわ」 「べ、別にお前のタメじゃ」 「アタシが守りますニャ~」 「ウチが」 「わたくしめが」 「なんか、もうウザいな!?」 ――・・・っ、そんなことより、こんなに固まったら…… 竜がこちらに狙いを定めて突進してくる。 レインの懸念が現実になった。 一人の、あの執事風の男子学生が前に出て、レインを振り返り、凛々しい笑顔を見せて、言った。 「マスターのためなら私は死ねます。」 ――ドサクサに紛れてなに言ってんだこいつ。 「さぁ、見てください貴方の執事の力を!」 ――忠実心が怖いってか、別にお前は俺の執事じゃないよ!? 「いざっ!!」 執事風の男子学生はレインの前に立ちはだかり、銀のケーキナイフをフェイシングのように構え、竜の体当たりを受けた。 執事風男子学生は力尽きた。 「ええぇっ、弱ッ!?」 瞬殺とはこのことか、とレインは呆れたが、それでも彼が犠牲になってくれたおかげで、自分の身が守られたのは確かだった。
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