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外見的には、若手な教官であってもおかしくはない。 では、疑問形で返したということは、この少女は学生だろう。 「ウチは娥梨子、座祖 娥梨子だ。前衛科一年として来てる。ここで会ったのもなにかの縁だ、仲良く頼むな。」 スッ、と手を差し出されたので、レインはおずおずと娥梨子の手を握った。 娥梨子の手は、なぜかテーピングが何重にも巻かれていた。 しかし、レインは女性の手を握るのは初めての経験だったので気にしなかった。 ――一年って、俺と同い年か…… 「お前は?」 名前を尋ねられているのだと気づくのに数秒かかった。 「俺は……」 「ほぉ、ウチより歳下の癖にタメ口か…」 「・・・・・え?」 娥梨子の瞳がギラリと光ったのを見て、レインは戸惑いから言葉を止めた。 「歳上には敬語だろうがぁぁぁっ!」 ――エエエエッ!? 「何を驚く。どう見てもウチより若く見えるし、」 「ちよっと、勘違……」 「先輩と後輩の関係とはなっ!後輩たる者は先輩を敬い尊敬して尽くし、先輩たる者は後輩の見本として世のかを教えるものだぞ!」 ――なに意味不明なことを語ってんだよ!? 「ちょっ、待て!落ち着け娥梨子!!」
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