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「安心しろ、殺られる前に殺る。」 前回の小試験で、クレイモアで風穴を空けられた飛竜の無残な姿が、メガネ男子学生の脳裏をよぎった。 カインが穢れることより女子生徒(腐女子?)達の命を心配するべきかもしれない。 カインら二班が和気あいあい話していた頃、彼らの前にある、直径50メートルほどの円状の部屋――第一闘技室では、訓練用の竜が解き放たれていた。 竜の種名は岩竜。 戦闘演習のために南にしかいないこの竜を捕獲してきたもので、総合戦闘力の高さは折り紙つき。 頭以外の体は翼はないが分厚い岩に被われていて、額の一角は鋼鉄に風穴を空けれるほどの威力を持つ。 闘技室内にいた戦闘学部の学生・一班の四人は、獰猛な岩竜の荒々しい息づかいを聞いただけで、身体中の筋肉が萎縮し、動きが鈍った。 ――恐ろしい 竜と向き合った四人の頭の中を支配したのは、補食される動物が抱く本能的な畏怖だった。 ドラゴンハンターは捕食者にも、間違えれば食われる方にも成りうる。 竜を狩ってドラゴンハンターとして生計を立てている者もいれば、未熟さ故に竜に食われ命を落とす者もいる。 この場にいる学生達は、ハンターになるため戦闘訓練を受けていたが、まだ竜特有の権能から抜けきれていなかった。
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