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「仕方がない。一班全員、評価はDだ。」 Dというのは、ヤられて戦闘不能のEを除けば、最低評価である。 別名、生きてるからよかったなこの落ちこぼれ賞。 実に不名誉な評価だ。 「俺がなんとかしてやる!!」 「そんなこと言ってアナタ、竜とは逆方向に走ってるわよ!!」 「死にたくないよ~!」 ギャアギャアわめいている試験中の四人に目を向けることもなく、女教官補佐は手元にあるボタンを押した。 室内に終わりを示すブザーの音が響きわたる。 「時間です。」 女教官補佐の事務的な声を聞いて「ウワァ~」、と学生達はうなだれた。 結局、制限時間いっぱい、竜から逃げ回っただけで終わってしまった。 もっと命懸けの無茶をすればよかった、と一班の学生達は思った。 次に活かしたことのない、反省。 「さあ、立ち去れ。」 教官に言われるまでもなく、一班の学生達は早足に闘技室から出た。 竜は暴れ続けている。 一班の学生達と交代する形で、室外に控えていた一人の現役ハンターが闘技室に入り、竜を檻に押しやった。 教官は手にした紙に、逃げ回るだけで試験時間を終えてしまった一班の評価と戦闘内容をメモに記した。 当たり前のD判定だ。
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