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それが、クレイモアでデタラメなパワーとスピードで繰り出される。
「ハァァァッ!」
クレイモアの刃が岩竜の一角を切り飛ばし、そのまま竜の顔面を捉えた。
竜の額に刃がめり込み、どす黒い血が噴き出す。
だが、それでも竜の突進は止まらなかった。
クレイモアの刃の腹が竜の頭蓋骨まで届いたにもかかわらずだ。
巨体な重圧が、軽装のカインの体に襲いかかる。
カインは歯をくいしばって、受け止める。
クレイモアの刃は後は振りきるだけなのだが、岩竜の硬い骨格に引っかかって両断できない。
気づけば、カインは竜の生暖かい鼻息がかかる距離まで接近していた。
「臭い。」
カインがクレイモアの柄から手を放し、拳を握り竜の横面を殴り飛ばした。
竜は、吹き飛び闘技室の壁に激突していた。
震動が伝わって、室内全体が揺れる。
鋼色の壁面に、大きな亀裂が入っていた。
――怪我はないな。髪に反り血がついただけか。
クレイモアの刃が半分頭に埋め込まれたまま竜は、既に思考力を失っていた。
残っているのは闘争本能と運動神経だけだった。
クレイモアが気になるのか、竜は壁に何度も頭を打ちつける。
しかし、それで頭の違和感が消えることはなかった。
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