前線の苦悩

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「A班、B班は北の集落を、C,Dが東、E,Fは西、G,Hは南の集落を調査しろ!決して無理はするな。残りHPと敵の攻撃力に注意して必ず生きて戻って来い!」 声色の低い、厳ついリーダーの声が全体に響き渡った。 普段のクールな雰囲気とは違い、気迫に満ちた雰囲気をかもし出すリーダー。その様子から察するに、どうもここ最近の前線の有り様がわかる。 新たな地へと向かう度に前線の人数は減り、それを補給しようとしてもPK(プレーヤー・キル)集団にルーキー達が殺されてしまうのが現実だ。 そんな中、俺達は数々のモンスターとPKを薙ぎ倒し、4ヶ月で前線にたどり着いた数少ないルーキーである。 ―――ここだけ聞いたら俺達が物凄いエリートっぽく聞こえるね。 まぁ、別にエリートってわけじゃない。俺達は前線からの遣いであるマキナのおかげで前線にたどり着けたようなものなのだから。 「シュウくん、隊長が集合かけてるよ」 今、話しかけてきたのは始めの街からずっと一緒に攻略の旅を続けてきた仲間エルスだ。 魔法を主としたプレーヤーで、レベルアップのステータスボーナスは全てM値に振るという荒業で前線まで来た女の子である。 M値に補正がかかった杖に装備重量が平均的に軽いドレス類を身につけている彼女の魔法は威力だけなら前線でもトップ3に入るだろう。 「ねぇシュウくん!聞いてる?隊長が呼んでるよ!」 「あぁ、ごめん。すぐ行くよ!」
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