前線の苦悩

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すでに我らが隊長、リーガン率いるD班の召集場所には沢山の隊員が列を作って待っていた。 その列の最後尾でエルスが呼んでいたので、俺は小走りでエルスに近づき、そのまま最後尾に並ぶ。 どうやら俺が最後だったんだろう。隊長は俺が列に並んだのを確認した後一回咳払いして大きな声を張り上げた。 「皆の諸君、今日も一日全プレーヤーの為にゲーム攻略を頑張ろう」 これは隊長の決まり文句みたいなものだ。この言葉の後に隊員達が「おぉ!」と答えるのがこの班の習慣、決まりごとみたいになっている。 まるで、体育祭の練習風景みたいだ。もしかしたら大人達も懐かしい気持ちになっているのではないだろうか。 「今回は地形調査だ。あとから来る人たちの為にもまずはこの付近の地図を完成させなければならない。未知のモンスターやトラップなど危険な物も多々あると思うから皆注意して進むように」 ここでどうやら隊長の話は終わりらしい。ホント短くて助かる。 そういえば、クエスト受注所で貰える地図は前線の人たちが作ったらしい。例をあげるならRPGみたいに歩いた場所だけ地図に載る的なあれだ。 攻略の手順としては、まず地図を作り地形を確かめることから始まり、その後行く手を阻むボスを倒し次の街へ進むという感じらしい。 つい先日前線に所属した俺とエルスにとってはこれが初陣という事になる。
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