逃走

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 まだ彼女逹から百数十メートル離れた距離だが、甲高い鳴き声?を発して追っかけて来る奴等がいる。  その毛むくじゃらの体躯から、一見すると日本猿にも見えた。けれど、あまりにもサイズが違い過ぎる。マウンテンゴリラ並みの身体の大きさで、オマケに太い首に乗っかっているのは、どう見ても犬の頭にしか見えない。  そんなこの世界では確認されていないはずの生物、その中でも一回り身体の大きなリーダー然とした個体が甲高い声で指示すると、群れは整然とした動きで彼女逹への包囲を縮める。  どうやら、見た目に比べて知能は高いようだ…  どちらにせよ、追い付かれるのは時間の問題だろう。とは言え、走るのを止めるわけにもいかない。  獣人?達の思惑は判らないが、捕まればただでは済まないだろう。喰われるだけなら良いが、その前に凌辱される可能性もある。
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