金木犀の花言葉

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  ところで今僕たちは何をしているのか――それは端的に言えば、御町内で定期的に行われる『地域清掃活動』に参加しているわけである。   年に4回行われるこの活動は僕らが産まれるずっと前から続いていて、基本的に一家から1名以上の参加が義務付けられている。 参加できない場合は出不足金(でぶそくきん)と呼ばれる罰金が発生する訳だが……僕とこよみ、互いの両親は平日休日関係なく多忙な職業に就いているため、『罰金払いたくないから代わりに参加よろしく。そのぶん小遣い弾むから』といった感じで、割と都合よく清掃活動に駆り出されるのだ。   まぁ僕もこよみも学生の身分だし、小遣いが割り増しで貰えるというのは魅力的だから嬉々として参加しているわけだが……     まさか今回は公衆トイレの掃除を任されるとは思ってなかった。     前回までは道端の空き缶拾いなどの、割と大勢で賑わう作業に同行させられていたけど……どうやら今回からは僕たちの作業レベルが上げられたらしい。     ――なんて心の中で愚痴っていると、こよみが唐突に作業の手を止め、静かにこう漏らした。  
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