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夕陽がその紅さを増した頃、同じく作業に参加していた大人の方々に声をかけられて、僕たちのトイレ清掃は終わりを迎えた。
紅い夕陽を受けてより一層濃く色づいた金木犀。
僕はそれに手を伸ばし、手頃な長さでそれを折った。
やがて大人達が慰労会へと先に向かうのを待ってから、僕は折った金木犀を握りしめながらこよみに話し掛ける。
「なぁこよみ、金木犀の花言葉って知ってるか?」
「知らないわよ、嫌いなんだから」
その匂いを払うように手を動かしながら、にべもない返事をするこよみ。
そんなこよみに僕は無理矢理、金木犀を握らせる。
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