八月十五夜禁中 独直対月憶元九(白居易)

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立派な宮殿の夜深く、私は一人、泊まり込みで警護をしつつ、遠い江陵に左遷されている君のことを心配しながら翰林院(かんりんいん:超エリート職)にいる。 十五夜の東に昇ったばかりの月は、大きくて重たそうな黄色をしていて、二千里(1000km)も遠く離れた地にいる君の哀しみの心を表してるみたいだよ。 いま君のいる渚宮(しょきゅう)の東側は長江に面していて、その川面(かわも)には夜の靄(もや)が白く冷たそうに出てるんだろうな。 私のいる宮殿は、北にある風呂場の西側辺りは、月明かりが当たりゃぁしないから、夜の深まりとともに闇が濃くなってるんだよ。 …とはいってもさ、やっぱり気になるわけよ、君がこの清らかな月光を見てないかも、ってね。 君のいる江陵ってとこは、いっつも天気が悪くて湿度も高いし、秋は曇りの日も多いからさ。
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