第4話

02:異変はすぐそばに

　で、何だっけ？何でそんなに急いでるの？レベルなんて毎日ちょっとずつ上げればいいぢゃまいか。
「まだ詳しいことは言えませんが、近々、大規模なゲーム内イベントが開催されます。それまでには、絶対に強くならなきゃならないんです」
　私はサイファさんのその言葉の意味がよくわからなくて、返信に少し時間がかかった。
　イベントの開催？
そのイベントでがんばる必要があるってこと？とんでもない報酬でも用意されてるのかな？『SSR確定ガチャチケット』とかなら、私めっちゃがんばっちゃうよ！
　でもそんなイベントの告知なんてなかったと思うけど…、何でそんなこと知ってるんだろ、この人？
「いえ、報酬がどうのというレベルの話じゃないんです。そのイベントにはもっと重要な…。いや、これ以上は、ここには書けません」
　ますます意味がわからん…。
もっと詳しい話を聞きたかったけど、寝起きで喉がカラカラだった私は一旦ケータイを閉じ、水場へと向かう野性動物のごとくのそのそと起き出して一階のリビングへと足を向けた。