02:異変はすぐそばに

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 今日はまだ誰も立ち入った気配のないひんやりとしたリビングで、コップ一杯のミルクで喉を潤し、私は再びケータイを開く。  サイファさんへの質問はいろいろあったけど、まずはひとつだけ。そもそもこれを聞きに来たんだった。  ねぇサイファさん、昨日言ってたプログラマーの話、みんなには伏せといたほうがいいのかな? 「そうですね、そうして下さい。いずれ、話さなければならない時が来るかもしれませんが、その時は自分から言いますから」  んー、あくまでプログラマーだと言い張るつもりなのね。 『プログラマー?あぁ、あれは単なる冗談ですよ』みたいなリアクションを密かに期待してたのに。 「とにかくひめちゃん。今はしっかりとアバターや武器の強化をしておいてください。もちろん、課金しろとまでは言いません。できる範囲でよろしくお願いします」  え?は、はぁ…。 そんな丁重にお願いされたら、とりあえずうなずくしかないじゃないか。  とにかく、次回のイベントまでに強くなればいいのね? 内容はよくわかんないけど、イベントといえば豪華な“報酬”がお約束。そんなもん、お願いされなくたってがんばっちゃうよ!  だが、続く最後の一言は、  サイファさんの最後の一言は、 決して悪気はなかったんだろうけど、結果的に私の闘争本能にブワッと大きな火をつけてしまったのだった。 「僕は、明日かあさって中にはひめちゃんと同じレベルまで上げてみせますので。お互い頑張りましょう」
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