03:争いはすぐそばに

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「葛城、おい葛城!聞いてるか!?なんていうゲームだよ、ソレ」 「え!?あ、ええっとね…」  そっと返してくれたケータイに、佐和くんの手の温もりが残っている。 ケータイにホオズリしたい欲求を抑え、それでも高鳴る胸の鼓動までは抑えることができないまま、私は質問に答えようとした。 「あの、叛逆のデスペ…」  いや、待てよ。 そこまで口にして、私は不意にサイファさんのことを思い出した。  そうだ。 サイファさんの言ってることがホントだとしたら、今や「叛逆のデスペラード」は、何やら怪しいドラッグの実験場と化してる、ってことにならないか。 そんな世界に、佐和くんを引きずり込んでいいのか…?  私はもう、後には引けない。いや、引かせてもらえない。 逃げ出すことはきっとできるだろうけど、その選択肢は今のところ、無い。  でも、佐和くんはまだこのゲームを始めてないんだ。 電子ドラッグがどんな効果をもたらすのかわからない以上、そのリスクを背負ってまで一緒にゲームをしたいとは思えないよ…。
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