03:争いはすぐそばに

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16:25  下校。  いつもの自転車。  いつものコンビニの曲がり角。 私はケータイ片手に自転車を漕ぎながら、ひたすらクエストの実行に専念していた。  クエストは基本的に、ケータイの決定キーか数字の『5』キーを押してさえいれば、プレイヤーの『体力』が尽きるまで勝手に進む。 画面を見る必要もなく、私は左手の親指だけを動かしながらクエストを淡々とこなしていた。  でも、今日はちょっともったいなかったな。 せっかく佐和くんとゲームを通じて親密になれるチャンスだったのにな…。 「叛逆のデスペラード」にこだわらず、何か別のゲームでも一緒に始めるように提案してみればよかった。 今さらそんなことを思えど時すでに遅し、ってヤツだけどさ。 「はぁ」 ガラにもないため息をつく美少女、ひめちゃんであった。  いつも赤信号にひっかかる大通りの交差点で、私はゲームのマイページを開いてみる。 『チーム掲示板に新しい書き込みがあります』  そういや、クエストに必死で掲示板チェックしてなかったな。 ちょっとチェックしてこよう。
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