1・その声に

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どう答えていいか迷って下げてしまった顔を上げられない。 だって……それはやっぱりそうことで。そういう、意味だよね? プリーツが変形してしまうくらいスカートを握りしめていると、ふいに頭に柔らかい感触があった。 「もし、みーちゃんがギリギリになっても一人きりだったら、同じく一人きりの僕を哀れんでケーキを食べに来てくれないかなって、感じでよろしく」 ふわりと、百瀬の掌が私の頭を撫でる。 「でも……」 「考えてくれてるのはちゃんと分かってるから。――そろそろ帰ろっか。本戻してくるから待ってて」 そう言って、わたしの分まで本を回収して、百瀬は本棚が並ぶ奥へと消えていった。 「もっ……」 その背中が慈愛に満ち過ぎていて、そうさせてしまっている原因は自分だといたたまれなくなってしまい、百瀬を追いかけた。 そんなことをしたって現状からわたしはきっと抜け出せないけど。でも、優しい百瀬に謝らなきゃと思って。
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