35人が本棚に入れています
本棚に追加
わたしたち以外、もう誰もいない図書室。
百瀬は一番奥の本棚に手をかけていたけど、私の足音に気づくとこちらに身体全部を向けて。
――また、優しく笑う。
「……ごめんなさい」
もっともっと、言わなきゃいけないことはあるのに。
百瀬はいつも、わたしに沢山くれるのに。
「――その謝罪は、僕は振られたってこと?」
秋の夕焼けはどの季節よりも綺麗で赤くて、寂しげ。その景色を背にして、窓ガラスにもたれかかりながら、百瀬は少し痛そうな顔をして訊ねてきた。
「ちがっ!! それは違うよっ。わたしが……っ」
「だったら、謝る必要ないよ。ホントみーちゃん、は可愛いね」
「そんなわけないでしょっ。こんないい加減な……宙ぶらりんさせてるのに……」
「そんなみーちゃんが可愛いんだよ。あんまりすぎて僕は困ってしまうくらいだ」
「っ!!」
最初のコメントを投稿しよう!