1・その声に

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わたしたち以外、もう誰もいない図書室。 百瀬は一番奥の本棚に手をかけていたけど、私の足音に気づくとこちらに身体全部を向けて。 ――また、優しく笑う。 「……ごめんなさい」 もっともっと、言わなきゃいけないことはあるのに。 百瀬はいつも、わたしに沢山くれるのに。 「――その謝罪は、僕は振られたってこと?」 秋の夕焼けはどの季節よりも綺麗で赤くて、寂しげ。その景色を背にして、窓ガラスにもたれかかりながら、百瀬は少し痛そうな顔をして訊ねてきた。 「ちがっ!! それは違うよっ。わたしが……っ」 「だったら、謝る必要ないよ。ホントみーちゃん、は可愛いね」 「そんなわけないでしょっ。こんないい加減な……宙ぶらりんさせてるのに……」 「そんなみーちゃんが可愛いんだよ。あんまりすぎて僕は困ってしまうくらいだ」 「っ!!」
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