相棒?

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捜査開始から2週間…公安4課から他の過激派、海外テロリストの犯行の可能性は薄いという情報が挙がった。刑事課でも全てのツテを使って捜査しているがシッポのシもみえやしない。あれだけのコトをやって一切の証拠や情報を残さないとなると……素子だよなぁ…ついてに実行したのは筧あたりか。考えたくなかったし、信じたくないが勘でわかっちまうな……。総監もこんな気持ちだったのか…。ここから見る東京の景色もだいぶ変わった。かつての文明の光と都市の喧騒はナリをひそめ、サイレンばかりが鳴っている。携帯が鳴った。「速水か?お前にお客さんだぞ」「誰です?」「知らん?若い姉ちゃん。早く来い。」電話は切れた。何だ?ここ最近はナンパしてないんだけどな…? 「速水、戻りました~。」「おう。速水、こっちだぞ」課長が手を振り呼ぶ。かたわらには長い髪をポニーテールにした女。明らかに緊張している、ガチガチだ。「俺が速水だけど?」女が答える。「わ、私はい、井上、涼子といいます。今日付けでこちらにち、着任にな、なりました!よろしくお願いしてください!」噛みまくりのパニクリすぎだ。「あのさ、俺巡査長。そうゆう事は課長にまず言え。」「あ、あの私、速水巡査長…いえ警部補の補佐をしろと言われて来たので…あの」俺は課長と顔を見合わせた。こいつはS・A・E・Tを知ってる…のか?「課長、取り調べ室借りていいですか?」「2番が空いてる、使え」「じゃあついて来て。えーと井上…」「井上巡査長です!」ポニーテールを揺らしながら井上が小走りで付いて来る。 「じゃあ入って」「失礼します」明らかに新人だ。新人が入ってくる事はいい。井上は世間一般で言う美人だ。歓迎できる。だがS・A・E・Tを知ってる事は歓迎できない。「座ってくれ。単刀直入に聞く。S・A・E・Tは知ってるのか?」井上は間髪いれず「はい!特殊強襲処刑部隊です!」と答えた。井上はニコニコしている。眩しい。この分だとだいだい知ってるとみえる。「俺の補佐っていったな、誰の命令?」「警視総監から命令をいただきました!」純粋な顔だ。嘘はついてそうにない。やれやれ…。
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