刑事 警察 警視総監

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本庁に着いた。が簡単には入れない。入るには自衛官による厳しい点検を受けなくてはならない。車体、身体検査、指紋照合などをパスしなきゃならない。お疲れ様ですと守衛に敬礼し俺は刑事課に顔を出す。すると周囲の視線が俺向き、「応接室へ行け!」見事なハモリっぷりだ。《速水巡査長、速水巡査長。至急応接室へ入ってください。警視総監がお待ちです。急いでください。減給しますよ》鳴海ちゃんのアナウンスが響きわたる。俺は溜め息をつくとドアノブに手を掛けた。「速水巡査長、入ります。」革製のいかにも官品というソファに腰掛けている中年の男…制服は光輝き、髪は程よく後退しておりなにかオーラを発している。「久しぶりだな、速水警部補。」「正規では巡査長です。青島総監。」総監は笑顔だが眼は充血している。おそらく睡眠時間は俺と同じかそれ以下だろう。「お疲れの様ですね…。」「メイクで隠しているのだがね…。上に立つ者が疲れている姿を下の者に見せるわけにはいかないからな。」「ベテランの刑事はすぐ見破りますよ。」「だがキャリアの新米どもは騙せるだろう」また総監は笑う。人懐っこい笑顔、この顔が今の警察を支えている。「ところで今日はどうしたんですか?総監自らおいでになるという事は…タダ事じゃない……。」総監から笑顔が消えた。「3日前、内閣から非公式に要請があった。要請という名目だが、正確には最優先の命令だ。S・A・E・Tの再結成及び出動。今回の東京都庁、全領事館爆破事件の犯人及び関係者の殲滅だ。」S・A・E・T 特殊強襲処刑部隊。凶悪犯罪に対する日本政府の最後の回答。出動には内閣の承認が必要。出動条件は現政権を転覆させる程の凶悪事件の発生。犯人の言い渡されるあろう判決が死刑になった場合。(定義はあいまいである)警察では解決出来ないと内閣が判断した場合。任務は犯人の殲滅、死刑執行。犯人逮捕はない。任務達成するための障害は全て無視、排除する。(民間人、人質への発砲許可、建造物の徴発、爆破。その他現場判断で排除)まさに犯罪に対する最後の切り札である。総監は続けて口を開く。「君には隊長として部隊を率いてもらう。副隊長だった君には最適だという判断だ。」
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