刑事 警察 警視総監

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「お断りです。本気で言ってるんですか?あれは日本政府の矛盾の一つです!法と警察を裏切ってる組織ですよ!」「君の言いたい事は良くわかるが決定事項だ。変更は無いし君に拒否権はない…。今の内閣は頭に血が昇っている。この事件によって日本のメンツは丸潰れだ。」「部隊を結成した時も解散した時もそんな事を言ってましたね……メンツだの体裁だの正義だの…どう考えてもおかしい部隊の存在意義を自己犠牲心を煽る言葉で納得させ俺達を造りだし、都合が悪くなるとすぐさまテロリストとして拘束、解散させた!」「……………。」総監は黙っている「S・A・E・Tを一番知ってるのは隊長だったあなた自身のはずでしょう!?」「だからこそだ!!今回の事件の首謀者はS・A・E・Tの元隊員の可能性が非常に高い!」「!?」俺は絶句した。バカな、あいつらが……。「……今回の爆破事件を実行に移せるグループは日本国内には無い。海外のテロリストにしてもこの情勢下で実行するメリットが無いし、日本の領事館全てを同時に爆破するなんてコトは不可能に近い…。だが!私も信じたくはないが、解散してからお前以外の隊員の行方はわからない!装備品の所在もだ。」「内閣は全て知っているんですか?」「いや、知っていない…ここ3日間の調査で一つの可能性として挙がっただけだ。S・A・E・Tは重要施設の地理は全て掌握している。膨大な情報収集能力を駆使し処刑する状況を作りあげ、犯人の逃亡の可能性を消す!今、まさにこの日本の鎖国状態こそがその状況だ…!!」…沈黙が流れる…。一番信じたくないのは隊長だった青島総監なのだろう。俯き、力なく下を向くその姿は部隊の解散直後の青島隊長を彷彿させる…。俺はあの時、理不尽さと怒りをぶちまける事しか出来なかった……去っていく仲間、消えていく絆、そして反逆し死んだ親友…止められなかった俺…。「彼らはこの国に罰を下そうとしているのかもしれん……平和に溺れ、他国を略取し依存している日本の存在、矛盾に……。今の日本を作ってきたのは他でもない我々だ…。だが!!」総監がこちらを見据える。その眼は疲れた警視総監の眼ではなかった。俺がガキの頃に見た若きおまわりさんの眼、俺が追いかけた隊長の眼だ。「私達は警察官だ!人々の平和と幸せを守るのが使命だ。関係のない人達にまで罰を与えさせるわけにはいかん!」…この眼だ…この眼に俺は……!
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