第一章

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「…夢霧?夢霧ってば、聞いてる?」 「…!あぁ、ごめん。聞いてなかった。」 「珍しいね、夢霧が話を聞いてない…なんて。」 ――そうだろうか。 まぁ、私も最近になって、進路をどうするかという事を考えるようになった。 …考えるようになっただけで、決まってはいないが。 申し遅れた。 私の名前は赤下夢霧(あかしたむむ)。高校三年生で、部活に入っている。 今は十二月で、大学に進学するか、それとも就職するか決めないといけない時期だ。他の奴らは、○○大学に行くとか、××に就職するとかいろいろ考えているようだ。 私が今、考えている進路は漬物屋さんに就職することだが、残念ながらこの村にそんな店はない。 この村――小西村は、住人の一人一人がそれぞれの職に就き、村を養っている村だ。当然、私の親も何かの職に就いている。 今さっき、私と話していたのは、灰木花音(はいぎかのん)。 同じクラス、同じクラブの親友。 可愛くておっとりしているので、当然モテる。だが、私が不審な輩を近づかせていないので、彼氏はいない。 話を戻そう。
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