第一章

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「…で。何の話をしてたんだ?」 「……もう!次、聞いてなくても教えないからね。」 そう言ってから、花音は話しはじめた。 「わたしのお父さんの妹の旦那さんの会社が、『クリスマスパーティーAND社員お別れ会』って言うパーティーを十二月二十二日にするんだって。それに私と私のお父さんも参加するんだけど、お父さんが私の友達も参加していいって言ってくれて…。だから、その……。」 そこまで息継ぎなしで言い終えると、急にもじもじする花音。 ――なるほど。 つまり、私と一緒に行きたいってことか。きっと、父親と一人じゃ心細いんだろう。 親友に誘われて、断るなんて絶対にしない。 「私も、行っていいか?」 「…!うん、楽しもうね、夢霧!」 今さっきまでもじもじしていたのに、うってかわって花が咲いたような笑顔を向けてくる花音。 いいな、こういう笑顔ができて。 …そうだ。 「私を誘うなら、あいつらも誘って見たらどうだ?」 賑やかになるだろうなと思うがな、と心の中で付け加える。 「うん、そう思ってたんだけど…。来ないね。」 言い忘れていたが、今は放課後。 私たちは、部室の中で話をしている。 私たちの入っている部活――『フリーダム同好会』は、特に何かをすると決めている部活ではない。ただ、『フリーダム』にお話をする部活だ。 この『フリーダム同好会』と言う名前は、なかなかいい名前だと思っている。 だがこの間、少年A(伏字)に、 「…なんでこんな変な名前にしたんだ?」 と言われた。 まったく、この名前の良さが分からないなんて…おかしいぞ!というと、少年Bが 「いやいやいや。お前の頭がおかしいだけだって。」 といって、この名前を侮辱してきた。 ということがあり、今年もこの(ネーミングセンスの悪い)部活に入ってくれる人はいなかった。 私はこのネーミングセンスは、選ばれたやつにしか分からないんだな、と改めて思った。 ちなみに、『フリーダム同好会』の部員は、私を入れて四人。 私、花音、少年A、少年Bの4人。去年までは、少年C(伏字)がいて賑やかだったんだが、少年Cは転校してイギリスに行ってしまった。 悲しい思いはあったが、またどこか出会える。 出会い方はどうなるか、少し楽しみだ。 ――物思いにふけていたとき、部室のドアが開いた。
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