第一章

7/8
前へ
/27ページ
次へ
そのときの私の顔は、多分とてつもない顔だっただろう。 まっつーは固まり、マロンテンは吹きだし、花音はやっぱりという顔をする。 「……。」 「……ぷっ。」 「……。」 「……。」 「か…花音の馬鹿野郎ー!。」 許せない!私の極秘情報(トップシークレット)をばらすし、このかっこいいズボンを馬鹿にするし、スカートをめくって、まっつーとマロンテンに見せるし…。 花音は、そんな私を見て慌てたようにこう言った。 「ごめん、夢霧…。スカートを男の子の前で、めくっちゃ駄目だよね…。」 「………。」 花音、お前ってやつは…。 謝ってほしいところが違う!このかっこいいズボンを馬鹿にしたことと、私の極秘情報(トップシークレット)をばらした事について謝ってくれ。 「本当に、ごめんなさい。」 あぁ、もう…。花音はいつもそうだった。ちょっと気が抜けていると思ったら、変なところで落ち着いていて…。 怒る気が失せてしまった。 「…花音は許す、けど。」 そう言って、床でお腹を抱えて転げまわっている奴を、キッと睨みつけ、 「マロンテンは許さない!」 と、犯人(マロンテン)を指差して、決め顔を作る名探偵(私)。 「…ぷ。ははは!いやだって…何その……ふははは!ズ、ズボン!」 お腹を抱えて笑っているマロンテンを見たとき、私の中の何かが切れた。 「どう意味だ、マロンテン!これのどこがおかしいんだ!」 「おかしいだろ、そんな…ぶははは!ズボン!」 「どこがおかしいんだ!ていうか、笑うな!」 「まず、色の組み合わせがおかしい!」 このズボン――『クエスチョンズボン』(名付け親は私)は、小西村唯一の服屋さん『暑けりゃ脱げ!寒けりゃ着ろ!』略して、『暑寒脱着』で作ってくれたもので、私が言ったデザイン通りの服を作ってくれる。 このズボンは、ズボンの左側が緑色、右側は黒っぽいピンクで分けられている。ポケットの色は紫という、とてもかっこいいズボンだ。 このズボンで、私が最も気に入っているところは、ズボンの後ろにあるクエスチョンマークだ。後ろに大きく書かれてあって、とてもかっこいい。 かっこいいのに…。 「おかしくない!全部かっこいいだろ!」 「全部おかしい!」 こんな事まで言ってくるなんて…。ひどい、ひどすぎる!
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加