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シュゼット・クレイプ。
彼がエクレール帝国の皇帝となってから、もうすぐ1年が過ぎようとしている。
エクレール帝国はハニー大陸の大半を支配し、海外領土も多く保有し、世界各地に影響を与える大国である。正式な神である死神タナトスの力により戦争で多くの勝利を上げている。
圧倒的な力を持つエクレール帝国に敵はいないように思えるが、実はすぐ近くに手強い敵がいる。
ハーリング海を挟んで存在するトライフル帝国だ。
トライフル帝国も多くの海外領土を保有しており、世界各地に影響を与える大国である。
エクレール帝国が真の覇権を握るには、トライフル帝国を倒す事が必須条件であった。
この二国間の戦争にハニー大陸中の国家は多かれ少なかれ関与している。一貫してどちらかに味方する国もあれば、状況により立場を変える国もある。
エクレール帝国側にある代表的な国は大陸西方にあるチュロス王国と北東のストロープワッフルである。どちらも以前は列強国同盟側だったが、降伏させてからは味方につけている。
トライフル帝国側にあるのはザッハトルテとハスリー帝国だ。
シュヴァルツヴェルダー・キルシュトルテ王国は以前列強国同盟に加わっていたが、和約を締結しており現在は中立の立場となっている。魔法国都市国家群も魔法国として統一されたものの中立の立場を取っている。
そんな情勢の中、エクレール帝国軍の主力はとある都市に集結していた。
エクレール帝国北に位置する都市・モンブランだ。
トライフル帝国本土への侵攻作戦のためである。
侵攻に必要なハーリング海の制海権を得るため、シュゼットは海峡に面した都市モンブランに20万の兵力を集結させ、着々と準備を進めていた。
トライフル帝国には正式な神オーケアノスを筆頭に海を司る神が集まっているため、海戦においてはトライフル帝国の方がエクレール帝国を上回る。それだけではなくトライフル帝国はエクレール帝国に対して海上封鎖を行っており、エクレール帝国は経済的にも打撃を受けていた。
エクレール帝国はトライフル帝国を侵略し征服する事で海上封鎖を終わらせようとしていた。ハーリング海を渡る事が出来れば、エクレール帝国は確実に勝利を収められる。
しかし、この海を渡る事が難関である。
さすがのエクレール帝国も、なかなか思うように事が進んでいないのが現状であった。
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