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「どうせ、あの子の事でも考えてたんだろ?」
「…何の事だ?」
「しらばっくれんなよー。ピットから聞いたぞ!女がいるってな!」
お喋りピット野郎め……!
セウーの中に殺意が湧いた。
「そろそろお前にも浮いた話があっても良いんじゃないかって思ってたんだ。で、どこまでいってんだよ?セウーちゃん♪」
勘違いしている上に、何やらヒュースは楽しそうだった。
「余計なお世話だ」
「教えてくれよセウーちゃーーーん♪」
と言うのでセウーはとりあえず顔面パンチした。
「痛っ!何すんだセウー!」
と、見かねてヴァルナーがフォローに入る。
「今のはヒュースが悪いぞ。二人の問題だろう?」
「…ぐっ!だって、こんなこと滅多にないだろ?もうピットに聞いてから気になって気になって…」
「自分が同じ事をされたらどう思う?」
「俺は別に……って、あ、そういう問題じゃないな。…セウー、すまん!」
ヒュースが両手を合わせて謝る。セウーはしばらく考え込んで口を開いた。
「………出汁だ」
「は?」
「話」
「あぁ、なんだ。そうだったのか」
ヒュースにはセウーが何を考えていたのか分かったようだった。
「じゃあ一から説明するぞ。実はもふうさから頼まれた事があるんだ」
「深海州の協力が不可欠だ、と言われてな」
「………何だ?」
「黒蜜国との条約締結だ」
セウーの耳が反射的にピクリと動いた。
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