黒蜜国編1

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黒蜜国。 それは東方の大陸にある島国。 異国人排除令により300年近く外国を拒み続けていた国である。 異国人排除令は黒蜜国人の海外交通を禁止し外交・貿易を制限している対外政策であり、例外で貿易を行えていたのはたった2国だった。黒蜜国の隣にある大国月餅国と、魔法国都市国家時代の深海王国だ。 深海王国は、以前の正式な神であったヘラクレスの経緯で約200年前から交流を持つようになった。深海からの安全なルートを確保しているため、遠方にあるにもかかわらず交流頻度は高く関係も良好である。 その黒蜜国はハニー大陸の列強国やハスリー帝国などから交渉を求められ、その度に拒否し続けていたのだが…状況が変わった。 大国ジェラートが軍事介入の可能性をほのめかしつつ交渉を求めたのだ。 黒蜜国は対抗する術を持っておらず、ジェラートと条約締結した。同じ年にトライフル帝国やハスリー帝国とも条約を締結する事となった。これにより異国人排除令が実質崩壊してしまった。 状況が変わった今、魔法国としても黒蜜国と新たな関係を築く必要がある。早急に新たな条約を結ばなければならない。 しかし、魔法国の中で黒蜜国まで行く手段を持つのは深海州とバード州だけである。バード州は空を飛んで黒蜜国へと行けるが、あいにく交流がない。深海から黒蜜国へと行けて、なおかつ交流もあるのは深海州だけだった。 今回の条約について全権を与えられたのは外交官のアルベルト。 彼を黒蜜国まで送り届けて欲しいというのが、もふうさからの依頼だった。 「深海王国が魔法国に統一された事も黒蜜国に知らせてなかっただろ?だからどっちにしろ行くつもりだったし、それは良いんだが…今回はアルベルトの護衛がある」 いつも以上に気を引き締めなくちゃならない、と言ってヒュースがセウーと目を合わせてきた。
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