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「お前が適任なんだ、セウー」
「……俺が?」
「あぁ、黒蜜国の事を一番よく知っているし、アルベルトの護衛も出来るだろ?」
「……アンタは?」
黒蜜国はセウーにとって憧れであり尊敬する国だ。その黒蜜国に行けるというのはセウーにとって夢のような機会である。
しかし、つい先日もふうさの暗殺未遂事件が起こったばかりだ。暗殺しようとした犯人の目的が分からない以上、ヒュースの身にも何か危険が及ぶ可能性はゼロとはいえない。
そんな時期にヒュースの元を離れる事はセウーには出来ない。
「俺の事は心配すんな。…つか、耳が動いてるぞ」
「う…」
ヒュースから指摘され、セウーは思わず耳に手を当てた。
確かに動いている…。
嬉しい事やワクワクする事があると、無意識に耳がピクピクと動いてしまうのだ。セウーの考えている事など全てまるっとお見通しのようだった。
「俺も深海州も何とかしておく。だから安心して行ってこい!」
背中をバンと叩かれる。
しばらく考えて…セウーは決心した。
「…分かった」
「よし、そうとなれば準備をしなくちゃな!」
アルベルトが深海州を訪れるのは早ければ3週間後らしい。
アルベルトが来たら外交用潜水艦タートルに乗って黒蜜国へと向かう。
あまり時間はない。
セウー達は急いで準備を始めた。
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