黒蜜国編1

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「お前が適任なんだ、セウー」 「……俺が?」 「あぁ、黒蜜国の事を一番よく知っているし、アルベルトの護衛も出来るだろ?」 「……アンタは?」 黒蜜国はセウーにとって憧れであり尊敬する国だ。その黒蜜国に行けるというのはセウーにとって夢のような機会である。 しかし、つい先日もふうさの暗殺未遂事件が起こったばかりだ。暗殺しようとした犯人の目的が分からない以上、ヒュースの身にも何か危険が及ぶ可能性はゼロとはいえない。 そんな時期にヒュースの元を離れる事はセウーには出来ない。 「俺の事は心配すんな。…つか、耳が動いてるぞ」 「う…」 ヒュースから指摘され、セウーは思わず耳に手を当てた。 確かに動いている…。 嬉しい事やワクワクする事があると、無意識に耳がピクピクと動いてしまうのだ。セウーの考えている事など全てまるっとお見通しのようだった。 「俺も深海州も何とかしておく。だから安心して行ってこい!」 背中をバンと叩かれる。 しばらく考えて…セウーは決心した。 「…分かった」 「よし、そうとなれば準備をしなくちゃな!」 アルベルトが深海州を訪れるのは早ければ3週間後らしい。 アルベルトが来たら外交用潜水艦タートルに乗って黒蜜国へと向かう。 あまり時間はない。 セウー達は急いで準備を始めた。
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