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「ま、まぁそれはそうじゃがな…。ほっほっほ…お、そういえばジョバンニはどこへ行ったのやら?」
おじいさんが苦笑しつつ、話を強引に切り替えた。
「確かに遅いのぅ。…お主は知らんのか?」
「トイレじゃない?にしては長いけど…」
サンタクロースがウィリアム(偽)に聞いたものの、彼も知らないようだった。
中央広場に一番に到着したのはウィリアム(偽)とジョバンニ、白い犬ポチだった。それから他の面々が集合したのだが、皆が来るより前にジョバンニはどこかへと消えていた。
ジョバンニもこの衣装をまだ見ていない。果たしてちゃんと来てくれるかどうか疑問である。
しばらくして、旧王城の方から大きな声が響いた。
「まもなく仮装コンテストを開催いたします!エントリーがお済の方は…」
「む、もう始まるようじゃ」
「ごめんごめん!遅くなった」
と、そこにジョバンニがやって来た。
「どこ行ってたの?」
ウィリアム(疑)が尋ねると、ジョバンニがすかさず答えた。
「コイヌの所。ちょっと見に行ってたんだ」
「あ、そっか。コンテストに出るって言ってたもんね」
「あぁ、どんな衣装なのか見てやろうと思って。…あ、伯爵。衣装ってどこ?ちゃんとリクエスト通りにしてくれたよね?」
「あぁ、もちろんさ☆」
伯爵が衣装をバッと広げて見せると…ジョバンニが一瞬言葉を失った。他の元廃棄島管理人ズは「あぁ、やっぱり…」と頭を抱えた。
「僕はまともなもの、ってリクエストしといたはずだけど?せめて恥ずかしくないものでって」
「ワルうさはまともだろう?」
「意味が違う…ワルうさ自身がまともとかじゃなくて衣装が…」
ジョバンニも頭を抱えた。
「悪いけど…僕はやめておくよ。そんなの着れない」
と言うジョバンニに、白い犬ポチとおじいさんが波状攻撃を開始。
「ジョバンニよ。気持ちは分かる。わしらみーんな恥ずかしいぞ?じゃが今日はお祭りじゃ。伯爵がせっかく作ってくれたものじゃし…」
「わんわん!わぉーん!」
「ほれ、ポチも一緒に着ようと言っておるぞ?」
「………ぐ」
「それではエントリーNo1…」
そんなこんなで、悩んでいる内に…仮装コンテストはいよいよ始まったようだった。
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