動き出す歯車

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動き出す歯車

何も変わらないただただ普通のアスファルトの道を秋の夕暮れ時に一人の高校生が歩いていた。全てはそこから始まった…… 「ああ~ テストだるし、毎回面倒だな~」 そんな事を呟いていたのは高校二年生の藍原空だった。至って普通で勉強も運動も平均くらいのどこにでもいる高校生だ。藍原の通っている私立東野原高等学校は中間テストを迎えていてちょうど初日が終了したばかりだった。藍原は身につけていた腕時計をちらっと見てみると時刻は午後4時だった。実は帰る際に学校から少し離れたゲームセンターによっていたのである。 「日が暮れるのも早くなったな」と心の中で呟いて少し歩いてら、ふと視界に高校生らしき女子生徒が地面を見つめていた。 「コンタクトでもしたのかな?」藍原は思い切って彼女に声をかけてみた。「ねぇ、どうしたの?」ところが彼女は返事一つしなかった。なので少し声を大きくして「ねぇ、どうしたの?」と言っも返事はやはりない。藍原も彼女の視線が向いてる方向に目を向けると、一匹の猫の死体が転がってた。すると不意に彼女はこう言った「この猫あなたには見える?ならあなたは“ツクリモノ”ではなさそうね。」藍原は彼女が何を言ったか全く理解できなかった。と言うよりもなんと返事をすれば分からなかったのである。彼女は淡々と語る「あなたはこの世界がツクリモノだと思はない?この世界は嘘で固められた物だと私は思うけどね。あなたはどう思う?」藍原は思考が定まらないまま「分からない…」と答えた。彼女は少し笑って「いい答えね。そうだ名前教えてなかったね、私は神宮舞。 高校生三年生よ。」藍原も少し遅れて自己紹介をした。「藍原空です。高校二年です。さっき言ってたツクリモノって何ですか?」と紹介しつつ疑問を投げかけてみた。彼女の答えは余りにも意外すぎた。「中身の無い人間か普通の人間か という事よ。私も色々見てきたけど、この街はツクリモノの人間だらけね。猫一匹死んでても誰も何もしない。私がこの子を見つけてから何人もの人間が通り過ぎてるけど誰も何もしなかった。でもあなたは違った。だから私はあなたに期待しようと思う。」と言った後、神宮舞は猫を抱きかかえその場を去って行った。
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