それぞれの夏(雪)

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僕と晶ちゃんはバチャバチャの入口にいるカノ・キノちゃんに遅れて合流すると、すでに入場の手続きは済んでいるようで  「んじゃ いきましょー」 キノちゃんの元気な声とともに、僕らは入口の改札口を通り抜ける。この時、到着してから何となく感じていた違和感が何だったかを知ることになる。 「改札ってスルーなの?」 バチャバチャには駅の改札口風の台が4~5台設けられているが、そこにはスタッフは誰もおらず、素通りの状態だった。  「ハイ そうですよ」 「え、、、 そうなんだ。 普通ならチケット渡して、とか」  「あ、そういえば言うの忘れてましたが」 そう切り出すキノちゃん。  「ここ、また出来立てでオープンしてないんですよ。今日はプレ・オープンってやつで、私たちは招待客ってわけです。」 「あ~~~」 どうりで、と納得する。これだけの広大な駐車場に大規模な複合型施設のわりに、停まっている車の台数や利用する客と遭遇しないとは思っていたが、招待者限定の仮オープンだった、ってわけだ。でも、普通招待客って関係者とかVIPとかじゃ… 「や やっぱり VIPだから?」  「いやいや ココのマスコットキャラのデザインにちょこっと加わっただけで」 キノちゃんはそう言うと、入口の天井に吊り下げられた見た目はポセイドンだが、女性化し、みるからに萌え系にデフォルメされたキャラクターを指さして  「あれ、カノが手掛けたんですよ。まぁ それが採用になったもんで、お礼にと優待券をもらった、ってだけですよ」 そう答えるキノちゃんの脇では、カノちゃんが照れ臭そうにこちらを褒めて欲しそうにチラチラと見ていた。うん、褒めるけどね。 「可愛いね~。カノちゃんってすごい!と思う」  「(∀`*ゞ)デヘー」 カノちゃんの褒め欲も満たしたところで、僕らはエントランスホールを抜け、問題の『更衣室』へと進んだところで 「あ あの」  「ん?」  「(・・?」 「ちょっと おトイレに行ってきたいので… 先に行っててください」 先ほど晶ちゃんと打ち合わせした通り、僕自身が着替えるタイミングを遅くするために策を講じる。チラリと晶ちゃんに目配せをすると晶ちゃんも小さくうなづき  「( ̄▽ ̄)ゞラジャ 先行ってる」 とカノ・キノちゃんの『連れション(って女性もあるのか?)』選択肢を無くしてくれる配慮をしてくれた。 更衣室に入っていく3人を見送りながら、念のため本当に用を足すためにトイレに行くことにする。個室に入り、扉を閉めると『リンリンリン♪』とポーチの中のスマホから着信のベルが鳴る。相手は晶ちゃんで  「水着 145番のロッカーに入れておく」 とメッセージがつづられていた。時間をずらすことで3人の裸を見ることは回避できたが 「はぁ・・・水着かぁ・・・」 自分が女性ものの水着を着る最大のクエストが残っていた。あとは男のプライドと 「スク水着とか 露出の少ない水着でありますように…」
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