それぞれの夏(雪)

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 「もっかい(((o(*゚▽゚*)o)))もっかい」  「ツギ(((o(*゚▽゚*)o)))カノと」 ここ、『バチャバチャ』のウォータースライダーは2種類で、一つは『ジャバジャバ』にもあった身体一つで円筒の中をスピーディーに流れ降りていく僕の嫌いなタイプ。そしてもう一つは、これからカノちゃんと2回目を興じる事となるボートに乗って大きな円筒の中をゆらゆらしながら降りていくタイプ。1回目に晶ちゃんと乗ってみたが、多少スピード感はあるものの、蛇行しながら滑り降りていくためアトラクション的な楽しさがあり、僕でも大丈夫だった。 「じゃあ これが終わったらキノちゃん呼んでお昼休憩にしようよ」  「「(゚д゚)(。_。)ウン」」 ちなみにキノちゃんは本職のユーチューブ動画撮影のため個別活動をしていた。そりゃ、ユーチューバーとしても人気をはせているキノちゃんが、水着姿でオープン前のアクアリゾートを舞台に配信となれば、信者ではない僕でも気になるし、バズる予感しかしない。 カノちゃんと2回目のウォータースライダーを終え、キノちゃんを迎えに行くつもりで晶ちゃんとカノちゃんに声をかけたところ  「もう1回あっちのウォータースライダー行かない?」  「(゚д゚)(。_。)ウン」 晶ちゃんとカノちゃんが僕の苦手なウォータースライダーにもう一度行こうと誘ってきたが 「キノちゃんを迎えに行ってくるから、二人で行ってきて」 と大義名分を言い訳に一人でキノちゃんのところへ行くことにした。広い屋内施設を散策しながらどこに行ったか分からないキノちゃんを探しているうちに 「♪~♪~♪」 自然と歌を口ずさんでいた。この時の僕は更衣室から出てきた際の羞恥心もなくなっていた。プレオープンのため、招待客は僕らを除いても遠くにポツンポツンと人影が見える程度しかおらず、見られていない開放感が気持ちを楽にさせたんだと思う。いや、決して真っ裸になるわけじゃないよ、意識したら今の水着だって十分恥ずかしいんだから。 流れるプールに沿ってキノちゃんの行方を捜していると、正面に流れるプールを渡れるようにアーチがかった橋が見え、その真ん中に見慣れたインディゴブルーの水着を着たキノちゃんが見えた。 「・・・」 大きい声をかけようとも考えたが、もしかして撮影中だと悪いと思い、キノちゃんの視界に入る場所から手振りで存在をアピールする。キノちゃんは僕の存在に気付いたのち、撮影は終わっているのか手招きをした。 僕は少し早歩きでキノちゃんのいる橋のところまで行く。 「 キノちゃん そろそろお昼休憩しない?」 と声をかけたところ、キノちゃんは持っていた自撮り棒付きのスマホを上方斜め45度に掲げると  「雪ちゃん こっちこっち」 と僕の手を握るとを自分の方に僕をグイと引き寄せて、よくある仲良しツーショット写真を撮るみたいだった。  「ハイ!ポーズ~」 キノちゃんはその後も様々なアングルから何パターンも写真を撮りまくる。一応僕も満面の笑みとまではいかないが、愛想笑い程度と隠したい部分(胸とか下とか)にそれとなく手でガードをして撮影に応じる。 まぁ、記念だし写真くらいならね。っていうか、晶ちゃん達が知ったら「「ウチもウチも!」」と新たな撮影会が始まりそうだ。  「お友達を紹介しま~す 雪ちゃんで~す」 「・・・え?」 キノちゃんの突然のインタビュアーに咄嗟にスマホに目を向けると、向いているスマホの画面にはキノちゃんと僕が映り、その上には『REC』と表示されている。 「え!? ちょ ちょっと 待っ」  「んじゃー キノたちはこれからお昼休憩して温泉入って帰りまーす。配信おわりー。まった見ってね~」 そう言い終えると、キノちゃんは構えていたスマホを閉じ  「さ お昼ごはん食べに行きましょ!何食べよっかな~」 そう言い残し、スキップしながらカノちゃん達のいる方向へ戻っていった。 「・・・ も もしかして 今の生配信だったの?」
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