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その後
ファミレスは夕方の繁忙期に差し掛かる
「ハイ!5番テーブル上がり~!!」
「2番テーブル追加いいですか!ミックスポテト・カラフルサラダお願いします!」
「こっちは大丈夫だから7番の片付けお願い!」
あわただしくホールと厨房を行き来するスタッフ
僕も見習い人ながらも注文聞き→配膳→下膳→片付けをただただ繰り返していった
その間
彼女とはすれ違いざまに顔を合わせるだけだった
それでも
彼女が休みで居ない事と比べれば、まだ幸せだった
そんな繁忙期も夜の9時を境に下火となり、スタッフも余裕の表情が出てくる
「晴クンと霧チャン20番どうぞー」
女性のフロアマネージャー(フロアの責任者)が僕と彼女に声をかける
ちなみに20番とは『休憩』の意味だ
僕の胸は踊った
彼女と休憩出来るなんて…今日は最高の日だ 年明け早々縁起が良い
僕はホールの奥にいた彼女へ向かい声を掛ける
「御坂部~20番だってさ」
「あ ハイハ~イ
何?晴クンも?」
「うん…そうみたい」
僕はニヤけそうになるのを堪え、平静を装いながら返事をする
すると彼女は
「じゃ晴クン 先に休憩入ってて
私残った仕事片付けてから行くから」
『そんなの残ったスタッフにさせたらいいじゃないか…』
そう思ったが
他人任せにしない責任感の強さ
それが彼女の良さだと思うと、何故か自分が誇らしげに思えた
彼女を好きになった僕の審美眼は間違っていないと
「わかった
じゃあ先に行ってるよ」
そう彼女に告げ、僕はスタッフルームへ一足先に向かった
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