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行動あるのみ。と言ったが、どれだけ歩いても景色は変わらず、木、木、木ばかりでもうどこを歩いていいかわからない状況。
「もう無理…歩くの限界…」
終には歩く気力も残っておらず、途方に暮れてしまう。
「私、ここで死んじゃうのかなぁ」
次第に日が欠けて、青空が綺麗な夕焼け空に変わる。
そもそも図書館にいたはずなのに、何故丘の上なんかにいたのだろう。
夏音はここに来る前の事を思い出す。
「そういえば、“声”が聞こえたんだ…」
そう、聞こえた。
『逃げろ』と。
誰の声なのかはわからない。
だけど、誰かの身を案じ、必死な声だったのは覚えている。
―――ザザッ
風に紛れて“何か”わからない“音”がした。
夏音にもその“音”は聞こえていた。
底知れぬ恐怖が体を支配し、動かない。
(――逃げなければ…でも…)
森の中…動物だろうか?人…だったら良いのにという考えが頭の中でループする。
――ザザッ キィィン
また風に紛れて聞こえた“音”。
先ほどと違う、何かが“ぶつかった”音。
どうやら動物ではなさそうだ。
だとすれば、たぶん人なのだろう。
そんな事を思っていると、何かが近付いてきた。
まだ恐怖で体が動かない夏音は震えながら目をつむる。
「―――そこにいるのは誰だ!?」
男の声。咄嗟に目を開けると、その男は目の前にいた。
「お、女…?」
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