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人…の声?
恐る恐る目を開けるとそこには…
「---男…?」
そう、男がいた。
漆黒の髪で、現代でいえばポニーテール。
服装はまさに着物。足は靴ではなく草履。
そして手にしているのは…
「か、刀…?」
(な、何で刀…?というか…)
刀に驚く反面、少し気が抜けた感じが否めない。
「ここ何処なのよー!!」
夏音の声が森の中をこだまする。
男もまさかこんな処に女が一人でいるとは思いもしなかっただろう。
男は驚きを隠すかのように、話しかける。
「貴様、こんな処で何をしている?」
一人パニクる夏音は、突然話しかけられて驚くが、素直に答える。
「こんな処になんでいるって…私が聞きたいわよ」
嘘ではない。
気付いたら“ここに”いたのだから。
「逆に聞くけど…ここは何年の何処なのよ?」
日光江戸村とかなら電車とかで帰れる。
時間はかかるけど。
出来れば帰れる範囲に自分がいることを期待する夏音だが、その期待はすぐに打ち砕かれる事になる。
「今は一八六四年の船岡山だが…」
(一八六四年?1864年?)
「----って1864年?!」
(そ、それは…まさかの…)
「ば、幕末ー!?」
男を他所に夏音は叫ぶ。
キィィンと耳に障り、男は耳を塞ぎながら夏音に問う。
「---っ…き、貴様、名は?」
そこで、お互いまだ名を名乗ってないことに気付く。
「あ。私は来栖 夏音。あなたは?」
男は珍しい名だな。っと呟いた後に名乗る。
「俺は葵。結城 葵だ。」
夏音と葵はこうして出逢う。
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