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「とりあえず、俺は新撰組にいる。」
何がとりあえずなんだと言いたげな顔をするが、葵の言葉を待つ。
「そして俺は今から新撰組に帰らねばならん」
え?
「そ、それはつまり…」
冷や汗がダラダラと流れ、頭が危険信号を発しているのがわかるような、身体の体温が急激に下がる。
それはつまり…の後は言われなくてもわかる。
葵に付いていくのだ。
必然的に夏音も一緒に行く事になる。
「お前も付いてくるしかないだろ…新撰組に」
あぁ、私どうなるのだろ…
なんて、まるで他人事のように浮かんだ言葉。
なんとなしにショックを隠せない、まだあどけない少女をまた淋しそうな表情で見つる葵は何かの気配に気付き、その方向を見る。
「…意外と早かったな」
ポツリと呟いた先にはお面で顔を隠し、漆黒の夜に身を潜めるかのような黒の被り物で、存在感を感じさせない、見つかることを良しとしないようにしている男が一人いた。
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