日常

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それにしても… 「宿題の課題が『幕末』なのよ…」 歴史の授業での事。 「えー…皆さんは平和な時代に生きています。でも、その『平和』な時代になるまでに、沢山の方の努力と沢山の方の『死』があります。」 そう語りだした歴史の先生… 咲谷 弥(さくたに わたる)。 皆からさくちゃんと呼ばれている。 「特に、江戸時代の後期。幕末から明治時代にかけてが、一番過酷だと云われています。」 (さくちゃん少し熱くなりだしたかも…) 「そこで、皆さんには課題として、幕末に活躍した人達を調べてレポートを出してもらおうと思います。」 (はっ?レポート?) 「さくちゃん!レポートとかダルいって…」 一人が言い出すとクラス全体がざわつき始める。 確かにレポートなんてダルいし、幕末に活躍した人達って範囲が広すぎる。 「はいはい、静かに!」 パンパン! さくちゃんは手を叩いて話を続ける。 「今があるのは活躍した人達のお陰です。最近は物騒な事件も多く、毎日誰かが亡くなる日々は昔も今も変わりありません。」 確かにテレビや新聞でも、毎日誰かが亡くなったって言ってたり載ってたりしている。 でもそれは、私達の知らない誰かで、顔も、どんな人柄かもわからないから、気にもとめない。
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