魔法使いが一人では足りない

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「ふうん、好きな人か。甘酸っぱい響きだね」 「甘酸っぱくなんて、ないです」 「今のほのかは、今だけのものだから、しっかり撮っておこうと今の話聞いて思った。まあ、俺が言ったあの言葉の意味はね、えげつない話になるけど、写真を売るために役者になったってこと」 「え?」 写真を売るために役者になったって……。どういうことなんだろう? 「あ、わかんないよね? 俺、自分の写真の腕には相当自信あったわけ、でも、売るためには、映画監督の息子だけじゃ、インパクト足りないかなって感じで、役者になった、七光りで役者になる方が簡単だったし、そっちでもそれなりに人気でると思ってたからね」 一ノ瀬さんは機材を片付けながら、淡々とそんな事を言ったけど、 どちらも普通の人なら、成功するのは難しいことだと思えたから、一ノ瀬さんの言うことが、まだ理解できなかった。
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