呪文のない魔法

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「お前の事になると、俺の思考回路、おかしくなる。馬鹿って言われても仕方ない」 いっちゃんは途方に暮れている。 何一つ問題が解決していないのに、その様子が、嬉しくなってしまうのって変? だって、いっちゃんが途方にくれる事なんて、今までそんなに、なかったはず。 その原因が私だなんてね。 ねえ? 恋って、こんなに滑稽なほど、自分の感情がややこしくなるもの? しかもノーコントロールで。 ずっと、いっちゃんの腕の中にいたかった。 二人で目を閉じて、世界を消してしまって、もう一度目をあけたら、あの最悪だと思っていた入学式の日に戻ればいいのに。 そんな魔法みたいな事起きるはずもなくて、部屋の外側からドアをノックする音が聞こえた。 .
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