呪文のない魔法

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「あら、ちょっと大変じゃない」 ナツコさんはそういって私のドレスの裾を手繰り寄せた。脚がむき出しになって恥ずかしい。とはもう、ナツコさんの前では全く感じなくなっている。 うん。ナツコさんの前で、全裸になってるのもあるけど、モデルのバックヤードって、ホントにバタバタしてて構ってる暇ない。 「しょうがないわね。ほかの衣装を借りてくるわ」 「ジャンは、気にしないかな? もう私に仕事くれなくなったりしない?」 「ふふ。心配無用よほのか、あんた、アイツのデザインしたマリエを着たのよ? 気まぐれにしかマリエをデザインしない男が!」 「誰のためにデザインしたのかなって思うとちょっと怖いよ」 ジャンが、サンドラに贈った衣装の事は有名で。もしかして、この一点だけしかなかった、ウェディングドレスらしき物もそうだったとしたら?
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