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息ができない。息がしたいのかも分からなくなりそう。
そう思い始めた頃に唇が離れたので、私は閉じていたまぶたをそっと開いて、いっちゃんの目を見た。
「馬鹿!!!」
いっちゃんの第一声はそれで。私はあっけにとられた。
「いっちゃん? 私の事分かる?」
「わかる。ああ。あんなに手間かけて、頭痛にまで耐えたのになんでこんな事が」
いっちゃんは、それだけ呟いて何故だか私にキスをした。
いっちゃんからのキス。
それはいっちゃんが完全に私を思い出したと言う事だ。
涙が溢れる。
「ほのか」
たった三文字の私の名前。
呼ばれてこんなに嬉しかった事、いままでにないし、これから先もきっとない。
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