最後の願い

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中学の卒業式、 幼なじみだと思っていた悠に告白というものをされた。 お前がこんなに俺の事を想っていてくれたなんて、 全然知らなかった。 気づかなかった。 「ごめん、うれしいけどその気持ちにはこたえれない。」 俺も好きだったよ。 お前とは違う意味だが。 「だと思ったよ、だから……」 携帯を取り出したお前はある画面を俺に見せてきた。 それは俺のアドレスで、画面には一言、 “削除しますか?” と出ている。 「これはけじめだから、これで僕からは電話もメールもできない。安心でしょ?」 そういいながらアドレスを削除した。 携帯から俺の名前が消え、 お前の携帯の中から俺が消えた。 何が安心だよ。 何が僕からは電話もメールもできないだ。 「何やってんだよ。まだ春休みだってある。これからだって遊びに行けるだろ。」 俺が掴んだお前の肩は微かに震えていて、 掴んでいた俺を離すように手をはらった。 「女々しいかも知れないけど、イチ貰えなかったら、ゼロなんだよ。」 ゼロってなんだよ 「友達じゃいられない。これから君は恋人ができるだろ。それを僕は指をくわえながら見なきゃならない。つらすぎるよ。」 涙を溜めたお前がいった。 そして後ろを向き、 「バイバイ、ありがとう。」 歩きだした。 追い掛けたくても足は動いてくれず、 お前を抱きしめたくても腕は動いてくれず、 その場から動けず立ちすくむを俺を動かしたのは、 お前の願い。 「最後に抱きしめてもいいか?友達として。」 なら俺は友達として抱きしめてやろう。 抱き着いたお前は、俺の制服を涙で濡らし、 声をあげて泣いた。 お前の背中にまわした手は、 震える体を優しく、 ただ優しく抱きしめることしかできなかった。
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