第3話

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  県内でも有名な指導者である中学時代の顧問が言っていた。  俺の指導の仕方は手が出ることもあるし、親から苦情が入ることも珍しくは無い。それが平気だと思う人と、そうでない人がいるのは普通のことだが、水沢さんは何も言わずに協力してくれてとても嬉しかった。でもそれは水沢さんと俺の信頼関係ではなく、俺を信頼して着いて来たお前の気持ちに応えようとしてくれた親心なんだろう。水沢のお母さんは、本当に良くできた方だと思うよ。大人になったら親孝行するんだぞ。と。    どうすれば親孝行出来るのだろうか。それ以前に何が里子にとっての親孝行なのだろうか。休日や空いた時間を、部活のための休息に使っていたため、それらしいことは殆どしなかった。天井を見つめながら考えてみたが、中々良い案は思いつかない。 「何か手伝うよ」  手始めに家事の手伝いから始めてみよう。台所に立った琴の姿を見て、里子はにこりと微笑んでいた。
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