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「はぁっ、はぁっ……」
私は森を走っていた。身体中に擦り傷を作っていたが気にしている心の余裕はない。
「あっ!」
しかし私は木の根に足を取られて転んでしまう。後ろを見るとそこには燃える街があった。それは私の街。でも鬼に襲われて炎と血の赤に染まってしまった。私はお母さんとお父さんのお陰でなんとか逃げれたけど、きっともう二人は……。
「うっ……うううっ……」
混乱していた頭が現状を受け入れ始める。お母さんやお父さんだけじゃない……たくさんの人が死んだ。いつもオマケしてくれるお菓子屋さんのおじさん、毎日私に勉強を教えてくれる神父さん、たくさん、たくさん死んだ。
「うううっ……うわあああああっ!!」
感情が抑えきれずに私は泣き叫ぶ。私一人生き残って意味はあるのだろうか。これからどうやって生きていけばいいのか。
「ねぇ……教えてよ……」
お兄ちゃん
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